天才論は多数の本を元に判断するのがお勧め
「天才はいかにして天才になったか」と題した評論家・森本哲郎氏の推薦文が裏表紙に掲載されており,「人間についての興味は,なぜ,彼が彼になったのか,どうして,彼女が彼女になったのか,それに尽きる,とさえ私は思う」との指摘は本書の問題意識を簡潔に表現しています。それに対する著者・木原氏の回答は「天才は学習によりつくられる」です。では,どんな学習が人を天才たらしめるのか。親の教育方針の重要性や幼年期から関心事へ没頭できる環境環境の有無等に触れられていますが,ケース・バイ・ケースという色彩が強く,教育学者が知恵を絞っても天才を生み出す学校教育は困難と述べており,天才が編み出した学習の知恵を自分の生活に取り入れる工夫は読者に委ねられています。その点は斉藤孝『天才の読み方』(大和書房)に比べると読者任せ,あるいは不干渉的といえます。 本書で取り上げられている天才は,モーツァルト,ニュートン,ゲーテ,ナポレオン,ダーウィン,チャーチル,ピカソ,チャップリン,平賀源内の9人です。木原氏の天才論は天才の光だけでなく,陰にも焦点を当てています。前傾の『天才の読み方』は天才の影の部分も肯定的に捉えているため,読者によっては,本書はやや意地が悪いと思われるかもしれません。この点は,いずれの本で取り上げられているピカソの女性問題の描き方を比較すると明確です。本書の論調は,ピカソやゲーテの女性遍歴について,女性への愛情を作品に昇華する一方で女性を捨てるものだというやや責める感じがあります。 「学習が天才をつくる」という共通したスタンスを持ちながら,本書と『天才の読み方』の天才への評価は必ずしも一致しません。このことは,いずれの本も天才を捉える一側面に過ぎません。真実は中庸にあり,ということで他にも何冊かの「天才論」を手に取ることをお勧めします。
勉強術+偉人伝
著者は「大人のための偉人伝」という本も書いているが、これはその系統の範囲を出ない気がする。しかし、そういった伝記的な記述から述べられる勉強法には新鮮味がある。個人的にはモーツアルト、ニュートン、ナポレオン、チャーチル、チャップリンの記述とその勉強法が気に入っている。 この本のよいところは、これまでいろいろな勉強法の本に当たってきた人が、極当たり前と思いそうな勉強法を偉人の人たちが一生懸命になって、「やっていた」そして「こうなった」。ということを知れることでなんだか読んでいて勇気が出てくるということだ。 ちなみにこの本を読んだ人は、チャップリンの映画に秘められた裏のメッセージに気づくことになるなどの得点もある。 一冊でこれくらいの人物達のことを知ることが出来たのは、大いに有意義な読書時間だった。
新潮社
大人のための偉人伝 (新潮選書) 続 大人のための偉人伝 (新潮選書) 大人のための世界の名著 必読書50 人生を考えるヒント―ニーチェの言葉から (新潮選書) レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫 青 550-1
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